店先に、フジバカマが並んでいます。赤みを帯びた茎の先に、小さなピンクのつぼみがふわりと集まった、秋の野の風情をそのまま感じさせる花です。今回は、秋の七草のひとつとして古くから親しまれてきたフジバカマの特徴と、長く楽しむためのお手入れをご紹介します。
今日の安曇野は、雲の多い一日。ときおり雨もぱらつきそうな空模様で、最高気温は24℃ほどの予報です。秋分を過ぎ、朝晩の空気には少しずつ冷たさが混じるようになりました。
フジバカマという花
フジバカマは、キク科の植物です。萩、桔梗、女郎花、葛、尾花(すすき)、撫子とともに「秋の七草」に数えられ、万葉の時代から歌に詠まれてきました。花の色が藤に、ひとつひとつの花の形が袴に似ていることから、この名がついたといわれています。
小さな筒状の花がたくさん集まって房のように咲くので、一輪の華やかさとは違う、霞のようなやわらかさがあります。つぼみのうちは色が濃く、開くにつれて白っぽく、ふんわりとした印象に変わっていきます。
乾くと香る、昔の人に愛された花
フジバカマの葉や茎は、生のうちはほとんど香りませんが、乾かすと桜餅のような甘い香りがほのかに立ちます。平安の頃には、乾かしたものを身につけたり、香りを楽しんだりしたとも伝えられています。
また、渡りをする蝶「アサギマダラ」が、この時期フジバカマの蜜を好んで集まることでも知られています。野に咲く本来のフジバカマは数が少なくなっており、いま花屋に並ぶのは、生産者さんが大切に育てた栽培品です。お店では、長野県内の産地から届いたフジバカマを仕入れています。
長く楽しむためのお手入れ
- 花瓶に挿す前に、茎の先を水の中で斜めに切る(水切り)
- 葉が多い花なので、水に浸かる部分の葉は取りのぞき、水が濁らないようにする
- 水はこまめに取り替え、そのたびに茎の先を少し切り戻す
- 葉がしおれやすいので、直射日光やエアコンの風が当たる場所は避ける
- 飾り終えたら、逆さに吊るして乾かすと、ほのかな香りを楽しめます
花屋から
フジバカマは、それだけで束ねても野の花らしい素朴さがありますが、コスモスやケイトウ、ススキなどの秋の草花と合わせると、軽やかな秋の景色になります。背の高い器にざっくりと挿し、枝先の広がりをそのまま生かすのがおすすめです。
暦の会では、その時々にいちばん良い状態の花材を、上旬・中旬・下旬いずれかのタイミングでお届けしています。季節ごとに出会う花を、暮らしの中で気軽に楽しんでいただけたらうれしいです。
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